小説の書き方

実は小説の書き方で起承転結にこだわる必要はない理由【解説あり】

ジェニファー

小説を書こうと思ったけど、起承転結ってやっぱり大事なのかな……?
なんとなくしか知らないよ。何を書けば良いんだろう。
そもそも、小説って起承転結で書かないといけないの?




そんな疑問を解決します。



起承転結、日本ではわりと重要なものとして扱われていますよね。誰でも一度は学校で習った事があるものだと思います。

でも、実際に小説へと応用した書き方までは分からない……そんな方も、多いのではないでしょうか。

Web小説7年目です。起承転結は少なくとも100万字以上は使い倒したので、有益な記事を目指して書いていきます。


そこで今回は、『実は起承転結にこだわる必要はない理由』といったテーマでお話をしていきます。

起承転結の使い方に終始する情報が多い中、こういった内容で記事を書くのは珍しいかと思います。

もちろん、起承転結を使ってはいけないという話ではありませんので、その点はご安心ください。


それでは、さっそく本編に進みましょう。

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実は小説の書き方で起承転結にこだわる必要はない理由

さて、いきなり結論から言ってしまうのですが。

小説を書く上で実は起承転結にこだわる必要がない理由というのは、そもそも起承転結というのは『漢詩の絶句の構成について述べられたもの』だからです。

歴史的には、詩の技法からスタートしたものだったんですね。

現代においても、ビジネスの場では使わない方が良いというように発言している人もいるくらいで、実は国際的には、ストーリーの作り方でもあまりメジャーなものとは言えないんです。

起承転結は『漢詩の絶句の構成』

元々、起承転結というのは漢詩の中の、絶句の構成法です。

『漢詩』というのは中国に古くからある詩のことで、『絶句』というのは、その中でも4句からなる詩をさしたものです。

つまり、この4句というのが、『起句』『承句』『転句』『結句』の4つに分かれる、という事だったんですね。

そして、これら4句は、以下のような役割を持っています。

  1. 起句:うたい起こしの句で、主に歴史や人事について語る
  2. 承句:起句を受けて展開する句で、穏健に行きすぎずが良しとされる
  3. 転句:承句と対をなすもので、読み手を驚かせる役割を持っている
  4. 結句:全体を締めくくる句で、これらを受ける役割を持つ。


これが日本に伝わり、小説などのストーリーを作る際に持ち出されるようになったという話のようです。


つまり、日本で一般的に文章の構成法として使われている『起承転結』は、実は本来の意味からは変化していた、という事なんです。

まずは、これを覚えておくのが大事です。

国際的にはメジャーではなく、ビジネスにも使わない

さて、日本でこれだけメジャーな起承転結ですが、実は国際的にはあまり使われません。


ビジネスのシーンでは、文章はパラグラフ・ライティングと言われる、『序論(主張)→本論(根拠)→結論(まとめ)』が一般的に使われていて、ブログなどでもこの書き方が最も分かりやすいとされています。

物事の説明をするのに、あえて主張を最後に持ってくる必要はないわけです。


また、学術論文などではIMRAD(イムラッド)という形式がベターで、これは『Introduction(議題)→Methods(方法論)→Results(結果) And Discussion(考察)』というものです。


映画の構成法としては、一般的に『三幕構成』と呼ばれるものがメジャーです。

これは、『設定』『対立』『解決』からなる構成で、それぞれの比率を1:2:1で書くのが良しとされています。

今となっては一般的になっている起承転結ですが、実は日本の伝統芸能も、『序破急』と呼ばれる三幕構成でした。

南カリフォルニア大学の映画芸術学部では、『三幕八場』という、ハリウッドでもよく使われる構成について教えています。


実はまとまった文章の書き方には、これだけの種類があるんです。

起承転結というのは説明を目的とした文章だけではなく、エンターテイメントの世界でも、あまり使う事は推奨されないとも言われます。

その理由は、三幕構成と比べて、物語の転換点に入るまでが長く、間延びした構成になってしまうからだと言われています。

日本では許容されている

このように、実は日本で言われているほど国際的にはメジャーではない『起承転結』ですが、こと日本では、『文章の一般的な書き方』として認められている、という側面があります。

1940年代ごろには、既に文章の作り方として使われていたようです。

遅くとも1940年代には「文章や物事の構成」という意味での「起承転結」の転用を一般化した例がみられる。

出典:Wikipedia『起承転結』


ということで、『起承転結』の正確な立ち位置としては、「国際的にはあまり一般的ではなく、推奨されないという意見はあるものの、日本では広く文章の構成方法として認められている」という事になります。


つまり、これを小説を書く私達が、どのように捉えるかです。

起承転結の、具体的な使いどころ

さて、基本的な立ち位置が分かった所で、私達が追いかけているのは『これをどう利用するか』という部分です。

物語の構成方法なんていうものは、もちろん物語を作るためにあるものですから。

無理に起承転結に振り回されるのも良くありませんし、かといって起承転結を忌み嫌っても、なんら価値は生まれないわけです。


文章構成は、文章を良くするために使えなければ意味を持ちません。


そこで、『どのように使えるか?』『使うとどうなるか?』について、詳しく説明していきます。

起承転結の使い方と、使った結果の話

私も真面目に舞台や映画の物語構成に触れるまでは、起承転結を用いて小説を書いていました。

プロットを書く上で起承転結を用いると、ざっくりこんな形を思い描いて書く事になります。

  • 起:物語の始まりを描く
  • 承:話を展開させ、比較的穏やかに進行する
  • 転:どんでん返し。話のターニングポイントを作る
  • 結:物語の結末を描く


で、これをそのまま転用して書く事を考えると、わりと前述の『前半が重たい』小説になります。

どうしても、前半の間延びした話の中で沢山の伏線を仕込んでおき、それを一気に展開させて花火を打ち上げて終了、という事になりやすいです。


まあ文学的にどの程度良いのかという事はさて置いて、ことWeb小説の世界で試してみると、これは事実ベースで、受け入れられない事が多かったです。

アクセス解析を見てみると、一目瞭然です。

つまり、物語の前半で脱落している人が多すぎるんですよね。


このことから、特に昨今のインターネットで小説を公開する時代では、起承転結を利用するにあたり、解釈の変更が必要になることが多いです。

『承句』をいじると、三幕構成になる

さて、解釈の変更をどのようにするかという話なんですが。

実はこの『起承転結』、承句を少しいじってイベントを起こすようにすると、『三幕構成』そのものになります。

というのも、三幕構成は『設定』『対立』『解決』からなる構成で、その対比が1:2:1になるもの、でしたよね。

『承』と『転』が『対立』にあたることで、ちょうどよく1:2:1の構成になるんですよ。


まあ、ここまで書くと「文章構成ってなんだろう」という話になってしまうかとは思いますが、実際イベントを早く起こすようにすると、明らかに読者は増えます。

小説は、話が早く展開した方が受け入れられやすいです。


ということで冒頭に戻るのですが、モノは考えようで、『起承転結にこだわる必要はない』というのが私の意見です。

『どのように物語を面白くするか』というのが、私達小説を書く側の人間が一番こだわらなければならない要素ですし、求める形によって、構成というのは常に変化していくものです。


ただ、もちろんこれは『過去の歴史を勉強しなくてもよい』という事にはならないとも思いますので、一度起承転結を使って小説を書いてみるというのは、良い勉強になると思います。

実際私も、起承転結を使って5~10万字程度の小説を3本くらい書いてみて、「前半が退屈になるのがどうしても改善できない」と悩みました。

それから長らく解決策が出て来なかったのですが、悩んだ末に三幕構成に辿り着いた、という経緯があります。

小説は、必ず起承転結で書かなくてもいいです

今回は、起承転結についての記事を書きました。

もし今、これから小説を書こうとしている方で、「起承転結にこだわらなければいけないのか」と悩んでいる方が居たとしたら、この記事で新たな知識が増えてくれれば嬉しいです。

物語には色々な書き方がありますし、どれを使っても自分の自由です。

また、様々な構成を使い倒す事によって、あまり型にとらわれず、自由なシーン構成で小説が書けるようになっていきます。

いずれは、目指す文字数から逆算してシーン数を決め、そこから小説の構成を作る事ができるようになりますよ。


型を覚えて、型を破る。まずはこんな知識を前提に、起承転結を使って一本の小説を書いてみてはいかがでしょうか。

現場からは以上です。

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