小説の書き方

小説における主人公の書き方・考え方【どうしたら人は主役になれるか】

レベッカ

小説を書いていると、いつも主人公が最後、かすんでしまうのよね……。
意識して書くと主人公にはなるんだけど、今度は逆に他の人が活躍できなくなっちゃう。
主人公って、どう作ったら良いのかしら?




そんな疑問に答えます。



主人公の事は作者が一番分かっている!

……そうだったら嬉しいんですが、実際のところ主人公って、思ったよりも自分の思い通りには動いてくれませんよね。

中には、気がつけば主人公よりも印象の強いキャラクターが生まれてしまって、どうしよう……となっている方もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、『どうしたら人は主役になれるのか』というテーマで話を進めていきたいと思います。

参考までに、私は小説を研究して20年以上経つ人間で、Web小説の事を何も知らない所から始めて、『小説家になろう』で900万PV以上を獲得する所までいきました。

今小説の事で悩んでいる方に向けて、できる限りの知識を共有したいと思い、こんな記事を書いています。

それでは、本編に進みましょう。

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小説における主人公の書き方・考え方【どうしたら人は主役になれるか】

主人公とはつまり、物語における主役のことです。

ある物語の中で、常に中心人物になっている存在。つまり、言ってしまえば主人公が1人の物語というのは、その主人公のために物語が存在するという事でもあるわけです。


まずは、主人公がこういうものだと定義するのが大事です。そうすると、見えてくることがあります。

逆に言うと、物語に関わっていない時に、主人公は主人公たる理由を失う事になるわけです。

主人公かどうかは、『スポットライト』で決まる

主人公は物語そのものだという話をしましたが、それはつまり、物語の抱えているテーマと主人公の抱えているテーマが同じということです。

まずこれを抑えておけば、「なんか主人公作ったんだけど活躍しない」現象を回避することができます。


一番よくありがちなのは、『主人公にテーマがない』という問題です。

これは、まずはキャラクターを作り、その後で話を作ろうとした場合によく起きます。

主人公のテーマ=小説のテーマという意識がないと、主人公と物語が別々の目線で語られる事になります。

つまり、スポットライトが揃っていないんです。


これを許してしまうと、メインとなる話のテーマは決まっているのに、その中で主人公が活躍できないという謎の現象が起きてしまうんですよ。

主人公にテーマはあるけど物語のテーマと異なっているため、蛇足になってしまう場合も同様です。


たとえば、何か突発的な災害が発生したとして。

それを自分目線で語るのであれば、主人公は自分です。

被害者総数や市の対策について語るニュースで、主人公は活躍できないですよね。せいぜい口コミで出番があるかどうかでしょう。

主人公の活躍できない小説では、こういった問題が起こっています。

主人公かどうかは、『スポットライト』で決まるんです。

たくさんの登場人物が居る場合の対処

こう書くと、「いや、でも私の小説では登場させたいキャラクターがたくさん居て、見せたいエピソードもたくさんあるんです」という事があると思います。

これに対しての対処法は2つあって、それは以下です。

  • 語り手を分ける
  • 主人公の話として扱う


『語り手を分ける』というのは、「章立てをして、主人公を分ける」ということです。

これはとても分かりやすいので、イメージがつく方も多いのではないでしょうか。

話ごとに主人公を分けてしまえば、見せたいエピソードは作り放題です。

三人称視点で書けば、視点移動にだけ気を付ければ難しい処理も必要ありません。


でも、中には「この方法だと、主人公が主人公している意味がない」と思う方もいるでしょう。

私もこれで悩んでいた時期があります。

主人公は、主人公として見せたい。でも、他のキャラクターのエピソードだって小説の中で扱いたい。

この2つの要望を叶えてくれるのが、『主人公の話として扱う』です。

他のキャラクターのエピソードを主人公目線で語る

これは、ちょっと慣れないと難しい方法ではあります。

他のキャラクターのエピソードを主軸に取り入れつつ、そこに主人公が話の中心人物として混ざることで、そのエピソードを主人公のものとして扱うんです。

主要なキャラクターの存在感を出しつつ、主人公も活躍させなければならないので、プロットの構成には少し頭を使います。

でも、これができると話の密度が上がって、グッと親近感が湧いてきます。


たとえば、今病気で死にそうな人が居たとします。

その人が死にゆく中で何を考え、どう感じたのか。これにスポットライトを当てて見せれば、それはその人の話になりますね。

でも、その人が死にゆく中で何を主人公に伝え、主人公がどう感じたのか。これを両立させれば、主人公の話になります。

このように、テーマと配置を入れ替えるんです。


登場人物両者のエピソードがきちんとしていなければ、どちらかが空気になります。

でも、両方のエピソードを語る事ができれば、ふと視点移動が入っても、意外とついて行けたりします。

まるで、2人が主人公のように語ることです。


これは、味方×味方、敵×味方など、色々なバリエーションがあります。

特に、小説の最初の方では主人公に感情移入していたのに、ふと気がつけば敵役にも感情移入してしまったというトリッキーな展開を作る事ができるので、おすすめです。

ただ、慣れないうちは『2人の登場人物を重要なものとして扱う』というのは難しいです。

プロットを作る時には、ちゃんと紙に書いてみる事をおすすめします。

主人公はどんなキャラクターが望ましい?

さて、主人公が主人公たるためにはどんな要素が必要なのかが分かった所で、『主人公』というキャラクターそのものについてお話を進めていきます。

主人公って、どんなキャラクターだと良いんでしょうか?


「小説なんて書く人の自由なんだから、どんなキャラになっても良いだろう」


確かにこれは間違いではないのですが、見方によっては都合が悪いんです。

ということで、主人公のキャラクター性について話していきます。

主人公の人間性が『特殊なほどマイナー』

この定義を覚えて頂きたいのです。

主人公の人間性というのは、一般的な所から離れるほど『マイナー路線』になります。

これを知っているのと知らないのでは、作る話の狙い所が大きく変わってきます。


なぜ、主人公の人間性は一般的な方が良いのか。

正確に言うと『良い』訳ではないのですが、一般的な方向に寄ったほうが、小説を公開した時に読者が増えます。

なぜそうなるかというと、多くの読者は『主人公に感情移入できること』を、かなり重要視しているからです。

100人居たら、100人が違う読み方をするのが小説です。当然、読者は一人ひとり、異なる人間なわけです。

そんな中で特殊な人間性の主人公を扱うということは、すなわち『数ある職業の中から料理人を選ぶ』といったように、読者層を絞り込む行為に等しいです。


ただこれは、戦略次第なところがあります。


一般的なほど読者が増えると話しましたが、正直な所、今の時代に『何も層を絞り込まないハイパー凡人な主人公』というのは受け入れられづらいです。

あまりにも一般的すぎて、どこにもヒットしないという現象が起こり得るからです。


というわけで、『マイナー路線』に走ることは、悪いことではないんです。

ただ、あまりにも読者が限定されるような特殊な主人公を取り扱う時は、そういった主人公に感情移入することを求めている読者がどの程度いるのか、少しでも想定するようにしてみてください。

そうすれば、ある程度読者の数をコントロールする事ができるようになってきます。

周囲のキャラクターよりも目立つようにする

主人公を取り巻くキャラクターよりも、主人公は何らかの方法で目立っていると際立ちやすいです。

それはたとえば、『1人だけ○○できる』というポジティブ路線から、『1人だけ○○できない』といったネガティブ路線まで、多岐にわたります。


これはけっこう応用が効く話で、たとえば『数ある特徴的な人間の中で1人だけ凡庸』とか、『落ち着いた地味なキャラクターの中で、1人だけ派手』みたいな要素も含みます。

こんな感じでコントラストを付けてあげると、主人公の影が薄くなるという問題はあまり発生しないです。


ただし例外として、群像劇のような多人数の主人公を扱うテーマの場合には、1人だけ派手なキャラクターが生まれないようにしましょう。

他のキャラクターが目立たなくなってしまい、魅力が薄れていきます。

これは難しい部分で、そのキャラクター自体は何も変わっていないのに、組み合わせ次第では影が薄くなってしまうという結果になるので、個性選びは慎重にやる必要があります。

主人公は小説のテーマになるもの

ということで、『小説における主人公』について見ていきました。

主人公は、小説では核になるもので、最も重要です。

小説のテーマ=主人公という図式を覚えて頂ければ、応用は効くと考えています。


この原則さえ知っていれば、どんな話に応用しても一向に構わないです。

たとえば、あえて普通の人が嫌悪感を覚えるような人間を主人公に選ぶ、とかですね。

これはこれで、怖いもの見たさ的な迫力が生まれます。


知識はうまく使って、面白い話を生み出すところにフォーカスしていきましょう。

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