小説の書き方

小説で『最強の友情』を見せるための書き方【結論:波をつくる】

クリス

うーん……なーんか違うんだよなー。
友情物語を書きたいんだけど、何から始めて良いのか分からない。
どうしたら友情って描けるの? 方法を教えてほしい。




こんな疑問に答えていきます。



『友情』というものははっきりした形がないので、いざ小説に書こうとすると、何から手を付けて良いのか分からなくなりますよね。

今回はそんな、胸が熱くなるような友情をテーマにした小説を書くための、ひとつの方法について書いていきます。

まだこういった『感情で語る話』の感覚が掴めていないという方は、ぜひこの先を読んでみていただければなと。


私もこれまで、沢山の友情をテーマにした長編を書いてきました。

もちろん友情には様々な形があるので、ひとつのパターンに固執することは望ましくありません。

ただ、この記事を読んでいただく事で、何も手がかりを得られていない状態から、ヒントを手に入れられる所までは駒を進められると考えています。

ぜひ一度、自分の手で作品を作ってみて、様々な応用が効くように訓練してみてください。


そこに、新たな道が拓けるかもしれません。

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小説で『最強の友情』を見せるための書き方【結論:波をつくる】

さて、小説で『友情』というものを表現したいのですが、これに関しての最も単純な結論は、『波をつくる』ということです。

友情を感じるためのシチュエーションは、考えれば色々な形を思いつく事ができます。

ただ、今回は『最強の友情』というテーマで書いていくので、この『友情を感じるレベル』をできる限りMAXの状態まで引き上げたい訳ですよね。


これに関する方法は色々あって、その手法のひとつとして、『波をつくる』という考え方があります。

さっそく具体的な手法に入って行きたいのですが、その前にまず『友情とは何か』について、簡単に定義していきます。

ここの認識がずれてしまうと知識の共有ができなくなる可能性があるので、予め抑えておきましょう。

友情とは『友達の中でも情愛を持っている関係』

友情というと、友達関係の中で起こる感情だというイメージがありますよね。

なんとなく、すごく仲の良い友達、みたいな。親友との間で行われるやりとりと言いますか。


これを一言で表すとするなら、『友達の中でも特別で、情愛に近い感情を持っている関係』だと考える事ができます。

情愛というのは何も恋人関係だけに存在するものではなく、いつくしみ深く愛するということです。

たとえば、親子関係でも情愛というのは存在しますよね。

これが友人関係の間で起こることを、この記事では友情と定義していきます。


つまり、友達は友達なんですけど、価値観や信頼などを共有していて、若干家族に近いような関係です。

いわゆるフランクな友達よりも、近い関係ですね。

これだけだとうまくイメージできない方も居ると思いますので、ここでWikipediaの言葉を借りたいと思います。

友情(ゆうじょう)は、共感や信頼の情を抱き合って互いを肯定し合う人間関係、もしくはそういった感情のこと。友達同士の間に生まれる情愛。しかし、それはすべての友達にあるものではなく、自己犠牲ができるほどの友達関係の中に存在する。

出典:Wikipedia『友情』


『自己犠牲ができるほどの』という所をポイントにして考えると、少し具体的なイメージができるかもしれません。

たとえば、ポッキーありますよね。雪山で遭難して、仲の良い友人二人が、最後のポッキーを手にするわけです。

おまえ食えよ。いや、おまえが食えよみたいな。こんな感じです。

最大のポイントは、『いつくしみ深く愛する』

『友情とは、友達関係上の愛情である』このポイントが理解できると、友情を描くのは急に楽になっていきます。

友達関係上の、愛情なんです。そういった『相手を思いやる気持ち』が表現できていれば、ひとまずはOKなわけです。

ということで、『いつくしみ深く愛する様子』を描くというのが、『友情を描く』のゴールなんです。


では、いつくしみ深く愛する状態って、どうすれば作れるんでしょうか?

たとえばキョウダイや親子のような関係で、生まれた時から一緒に暮らしているという事であれば、自然と相手を大切にする気持ちも生まれるでしょう。

ただ、なんとなく普段から相手を大切にしている状態って、中々ないことですよね。

24時間あったら、24時間延々と相手の事を考えているというのは、まあ無いとは言いませんが、そこまであることではありません。


つまり、『いつくしみ深く愛する』を表現するためには、その感情を誘発するきっかけが必要だという事になります。

これが次の項に深く関わってきますので、頭に入れておいていただければ幸いです。

いつくしみ深く愛するためには、きっかけが必要なんです。

いかにして『最強』の友情を小説で書くか

さて、ここまでは根本的な部分についてお話をしてきました。

ここからは、より実践的な内容を書いていきます。


友情を深く感じるための小説を作る。これが、この記事のゴールです。

深く感じるためには、「そこにある」という事が、強く認識される状況を作らなくてはいけません。

それを達成する最もポピュラーな方法は、『ない』と『ある』の、2つの状態を描くことです。

ようやく、冒頭でお話した『波をつくる』が説明できる段階になりました。

  1. 友達関係上の友情が『ない』状態
  2. 友達関係上の友情が『ある』状態


これをはっきりと分けて小説を書けると、『ないものがある』すなわち、友情を強く感じられるようになります。

最初からあるのではなくて、最初は無い所から始まり、徐々に強い友情を、読者が登場人物と一緒に感じられる状態を作り出すことです。


これが、『最強の』友情の、ひとつの回答になります。

2人の登場人物について、関係性の遠さを示す

たとえばなんですが、電車の中でたまたま話しかけられた知らない人に、深い友情を感じる事はどれだけあるでしょうか。

0%じゃないのかもしれませんが、かなり0%に近くなると想像できます。


生活を共にしていない人と人との関係って、最初はかなり希薄ですよね。

今回は感情をテーマにした小説を書くので、この『リアルに起こった場合の感情』は、とても大切に扱います。

読者にとっても、見ず知らずの登場人物が2人現れて、何の関係性も見えずにいきなり最初から信頼し合っていたら、ほんの少しでも置いてけぼりにされる気持ちが働きます。

ということで、友達というのは物語が始まった瞬間は他人ですから、これを利用して『友情がない状態』を作り出してやれば良いです。


具体的にどうするかというと、最初は他人であることを強くイメージさせるシーンを描きます。

コンビニで肩がぶつかって、「あっ、すいません」とか、まあ何でも良いんですが、遠い関係性が見えるシーンを用意するんです。

とても、いつくしみ深く愛するような間柄ではなさそうだ。と、読者にイメージを与えます。

いつくしみ深く愛していない状態は、つまり自己犠牲が働かない状態ということですから、基本的には利己的に動けば良し、です。

2人の登場人物が、お互いにいつくしみ深く愛する状況をつくる

そして、この関係が変われば良いわけです。

つまり、最初はとても友情など感じられない関係だったはずの2人が、物語の最後では自己犠牲を払い合って、信頼し共感している状態になればOKです。

この、『ない→ある』の状態をどれだけ激しくできるか。

つまり、どれだけ波を高くできるかによって、友情を強く感じるかどうかが決まります。


そして、そういった状態に変化するためには、『変化』のシーンが必要です。

つまり、2人の希薄な関係を発展させるようなきっかけ。理由が必要ということです。


現実世界で知らない人から、「おうマサオじゃねーか」と言われたら引きますよね。

もちろん、主人公がマサオという名前だったという仮定で。

でも、それが小学校時代の同級生だと分かるような瞬間があったら? 一転して、仲良くなる変化が生まれるかもしれません。

そういうきっかけを何かしら、与えてあげるのが大事です。


そして、2人の友情が試されるようなシチュエーションも用意します。

これも、きっかけが必要です。

小学校時代の同級生だったマサオとジョナサンが、コンビニで肩をぶつけて知り合ったことをきっかけに、二人三脚の世界にのめり込んでいくんです。

ところが、マサオは思ったよりもタイムが伸びず、ネガティブになってしまいます。

もしかして、自分が努力することで、逆にジョナサンに迷惑をかけているのではないか。

大会は棄権するとジョナサンに話し、マサオは家に引きこもりました。

ところが、ジョナサンは1人で二人三脚の大会に出て、テレビ中継のカメラを前にして、こう言いました。

「たとえ来年になっても、俺はここでお前を待ち続ける!」

マサオはジョナサンの様子に感動して、家を出たのでした――……


めちゃくちゃ適当に書きましたが、この『マサオが家に引きこもる』というシチュエーションが、2人の友情を試す形になっていますよね。

こういう『通常の関係なら怒られるか、絶交されて終わり』といったようなきっかけを作ると、そのギャップに強い友情が感じられるようになります。

「おうマサオじゃねーか」の時は、100%この展開になっていませんよね。

だから強いシーンになるんです。

小説における友情は重要なエッセンスのひとつ

ということで、今回は『友情』というテーマを切り取って、それを描く方法について見ていきました。

実はこの作り方、友情でなくても、様々な感情を扱うために重要な考え方である事がわかります。

試していただいて、自分のスキルとして定着させる事ができれば、色々な事に応用できるのではないかなと。


とりわけ、小説における友情や愛情などの感情は、重要なエッセンスのひとつです。

これがあるから物語が読みたくなる読者もいますし、感情をテーマにした作品はとても多いですよね。

なにか1つでもコントロールできるようになると、書き手として見える世界がけっこう変わるのでおすすめですよ。

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