小説の書き方

小説の矛盾を回避するために必要なのは『概要を把握する』ことです

ジェニファー

あれ。「なんかこのキャラクター、前と言ってる事違わない?」って感想がついた。
自分の中ではそんなに矛盾してるつもりないんだけど……
うーん……どうしたら良いんだろう。




そんな疑問に答えます。



小説の矛盾というのは、書いているといつか起こってしまうものです。

でも、できれば読者の目に触れる部分では、矛盾に気付かせないようにしたいですよね。


そこでこの記事では、『可能な限り矛盾を減らす方法』という内容を書いていきます。

よくWeb小説投稿サイトの感想欄で「矛盾している」と言われてしまう方。

読者に言われている訳ではないけれど、どうも自分の話が矛盾していると感じている方。

こういった方をターゲットにしています。


私も小説における矛盾で悩んだ時期がありますので、必要な知識を共有できればと考えています。

それでは、さっそく本編に進みましょう。

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小説の矛盾を回避するために必要なのは『概要を把握する』ことです

さて、いきなり結論なんですが、小説の矛盾を回避するために必要なのは、『概要を把握する』ことです。

まずこれさえ最低限抑えられていれば、読者に気付かれるような矛盾を残す事はほとんど無くなると言っても過言ではありません。

ただ、長くなればなるほど、この『概要を把握する』というのは難しくなってきます。


矛盾が発生しないように、概要を把握するためのポイントは3つあります。

  1. プロットはシーンごとに書く
  2. 概要から詳細に向けて書く
  3. 台詞はなるべく後回しにする


まずは、これらについて見ていきましょう。

1.プロットはシーンごとに書く

このブログでは、他の記事でも事あるごとに『プロットはシーンごとに書こう』と書いていますが、それだけ重要なものです。

シーンというのは、ある登場人物(主に主人公)の気持ちが、AからBへと変わるまでの間をさしています。

そして、シーンをこのように定義する以上、必ず2つの要素がシーンの中に入ってきます。


それが、『理由』と『行動』です。


この2つを抑えていると、そのシーンの中で何が起こるのかは書く前からある程度明確になります。

それに、いざ小説を文章に起こした時に、プロットの枠から話がはみ出してしまうという事はまず無くなります。

手前で書いたシーンが後の話に繋がっていくので、わざわざプロット内に無いことをしようとすると、どんどん話が崩れて行ってしまうからです。

これは、矛盾を回避するためにとても大きなメリットです。


なお、中には小説を書くのにプロットを必要としない方もおり、そういった方は私の記事は参考にならないと思います。

自分の書こうとしている話が頭の中で整理できるとか、勢いで書いても話を面白くすることができるという特殊能力を持った人達です。

このブログでは、こういった事ができない私のような人に向けて発信しています。


ともあれ、プロットをシーンごとに書くようにすると、最低でもこれだけの情報が頭の中に入る事になります。

  • その話を書くために必要なシーンの数
  • どのくらいの文章ボリュームがありそうか
  • それぞれのシーンで登場するキャラクターは何人か


これは、前述の『概要を把握する』上で、非常に重要なことです。

2.概要から詳細に向けて書く

次に重要な考え方は、『概要から詳細に向けて書く』ということです。


一番細かい台詞の部分からいきなり小説を書こうとすると、多くの場合は行き詰まります。

想像できていない部分が白紙になるので、それをなんとかキャラクターの掛け合いであったり、ストーリーを展開させたりして埋めようとするからです。

そうすると、頭の中で想像できていなかった場所では、何が起こるか分かりません。

結果として、考えもしなかった展開や台詞が登場します。これが矛盾の温床となります。

どうしてもその部分については熟考する時間が短くなってしまうので、言わば『言い訳』のような後付の話になってしまうからです。


これを回避するために、まず一番大きな部分から枝分かれしてプロットを作っていく、という事をします。

最初に見せたいテーマがあったなら、そのテーマを見せるために必要な展開をまず考える。

展開を考えたらそれを紙に書き出して、前後関係を整理する。

台詞を考えるのは、一番最後のステップです。

こうすることで、小説のどの部分を取っても計算された物語になります。


これもやはり、頭の中でできてしまうすごい方も居るようなのですが、おそらくそういった人は私のブログに来ることはないでしょうから、考えない事にします。

実際に紙に書き出して、自分が本当に見せたいものは厳選すると何になるのか、考えてみる事にしましょう。

このステップを踏むだけで、前述の『シーン』はよほど現実味を帯びてきます。

3.台詞はなるべく後回しにする

少し前のステップでも触れましたが、『台詞を考えるのは最後』です。

ちょっとしたキャラクター同士の掛け合いやボケツッコミのような要素は、経験上プロットが完成した後でも、いくらでも詰め込む事ができます。

『プロットが完成した後は文章を書く作業』という風に考えている方も居るようで、私も昔はそうでした。

でも、実際にプロットを追求してみると、プロットと本文ではまったく役割が違うことが分かります。


文章の美しさや台詞の面白さを追求することができるのは、プロットではなく実際の作品だけだからです。

プロットを緻密に考えるからこそ、『実際に小説としてどう書き起こすか』という楽しみがその後に生まれてきます。

これ、実は作品の完成度にかなり大きな違いを与えます。


たとえば、ポップな今風の作品を作りたい時は、くすっと笑ってしまうようなキャラクター同士の掛け合いはけっこう重要です。

これをプロットの段階で作るのは容易ではありません。プロットが台詞を書くほど細かくなっている場合は除きますが……。


少し話が逸れましたが、プロットを綿密に作っておくことで、文章にする時に考える事は、全く違ったものになっていきます。

以下、実際に私が体験した違いをまとめてみました。

ジョージ

『プロットで概要を抑えていない場合』

うーん、ここからどうやって話を展開させようかなあ……。
AくんとBちゃんが会った所までは良いけど、なんとかお城に向かわせたいんだよな……。

あっ、そうだ。実はBちゃんがお城に住んでいた事にしようかな?
そうすれば、自然とお城に向かうように仕向けられるな。

『プロットで概要を抑えている場合』

AくんとBちゃんが会う所までは進んだから、次はきっかけのシーンだな。
酒場で2人が話している時に、ふとAくんがBちゃんの紋章に気付くシーンを書いていこう。

紋章に気付くためのきっかけが欲しいな。隣のテーブルで騒いでいた連中が、勢い余って2人のテーブルを倒すようにしようかな?
それで、Bちゃんの服に酒がかかって、Aくんが拭いている最中に気付くとか。

ジョージ


どうでしょう。実際、具体的な内容を考えるにあたり、これだけの大きな違いが生まれます。

密度は濃いのに矛盾は少ない。台詞を後回しにすることには、これだけのメリットがあるんです。

100%矛盾を回避しなくてもいい

ここまで矛盾を回避する方法について話しましたが、何を『矛盾』と受け取るかは、人それぞれです。

矛盾の語源は、『韓非子(かんぴし)』という、中国戦国時代に生まれた故事成語の一篇、『難』に基づくものだそうです。

この話は有名だと思いますが、『どんな盾も突き通す矛』と、『どんな矛も防ぐ盾』を売っていた楚の男が、「じゃあその矛でその盾突いたらどうなるん?」と言われて困った、という所から、『矛盾』という言葉が生まれました。

この『矛』と『盾』を小説の中でどの部分に感じるかは、人それぞれですよね。


特に、人の小説にネガティブな印象を持っている人は、なんとかしてこじつけでも良いから、矛盾を探して作品を下に見ようと考えたりもします。

そんなところまで回避しようとするのは、正直無理な話です。


だから、作品を楽しく読んでくれる読者が矛盾を感じないようにしてあげれば、目的は達成されるんですよね。

こんな意識で挑むと良いのかなと。

私はプロットを書くことで矛盾を消す方法をずっと使っているのですが、他の手法があるならそれでもいいです。


矛盾のない物語を目指すのではなく、面白い物語を作ることを目指したいものですね。

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