もう社会人になって結構経つけど、やっぱりIT業界に転職しておくべきだったかな……。
でも今更未経験だし、もう一度大学に行く訳にも行かないし。
未経験でもIT業界に転職する方法ってあるのかな。
そんな疑問に答えます。
IT業界で仕事して10年以上経つのですが、この10年で周囲を取り巻く環境って、驚くほど変わったなあと感じています。
ということで、今回の記事ではこんな事が分かるようにしていきます。
- IT業界にはどんな仕事があるのか
- 未経験でITに転職する流れ、必要な時間
- どんな武器を持って、IT業界に転職すべきか
そんな私は、とある会社でソフトウェア開発の責任者として勤めています。採用担当として新卒の面接なども行っています。
この記事ではそんな経験者の目線から、未経験のIT転職について思う事を語っていきます。
Contents
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未経験IT転職のポイントを3つ解説
まず、『IT』『転職』『未経験』と言ったって、人によって土俵が違います。
個人の目線で語られる事が多いですが、ひと括りでは考えられません。転職するに当たって、注目ポイントが3つあります。
『IT業界に未経験で転職するための注目ポイント』
- スキル
- 年齢
- 経験
ここでは、それぞれのポイントについて話していければと思います。
IT転職のポイント①:スキル
「いや、未経験なんだからスキルなんかないに決まってるだろ!」と思うかもしれませんが、少し待ってください。
以下の質問に答えられるかどうかが最初のテーマです。
ITスキルって実は色々枝分かれしていて一言では語れないのですが、まずは参考程度に読んでみてください。
- パソコンを持っていますか?
- パソコンを使ってインターネットにアクセスした経験がありますか?
- パソコンでメールを送った事がありますか?
- WordやExcelを操作した事がありますか?
- パソコンを自作した事はありますか? もしくは、パソコンの中がどういった部品に分かれているか答えられますか?
- ホームページを作った事がありますか?
- 『プログラミング言語』と言われて、1つでも答える事ができますか?
- 簡単なプログラムを作った事がありますか?
なお、基本的には下に行くほど難易度が高いものです。
『IT未経験』と言っても、実はその内側にこれだけのスキル差があるんです。
勢い余って転職しても、入社した時にどこまで教えて貰えるかは分からないので、可能な限り自分で勉強しておくのが吉です。
1~4に該当していない方は、わりとすぐ達成できるものなので、まずは転職を考える前に一度、PCを購入して体験してみるのが良いと思います。そこから先は、個人で独学するのは少し根気が入りますね。
もちろんこれは序の口で、ここからITスキルというのはどんどん先まで進んでいきます。だから、自分がどのあたりに居るのかというポイントがまずひとつあります。
IT転職のポイント②:年齢
次に年齢です。これはどこでも言われていますが、若い人の方が有利です。
若い人の方が転職に有利なのは間違いないのですが、どちらかと言えば若いかどうかより、年齢と比較して優秀かどうかが見られる場合の方が多いです。
ということで、年代別に必要な要素を書いていきたいと思います。
年代 | 必要な要素 | 転職における考え方 |
---|---|---|
20~29歳 | 業界への転職意欲 年齢に応じたITスキル 論理思考能力 | 『スキル』を育てる時期 広い分野への興味・取り組む姿勢が重要 効率の良い学習方法を知っていると吉 |
30~39歳 | 仕事に役立つユニークな経験 何らかの成功体験 専門分野の構築 | 『経験』を育てる時期 プロジェクトマネジメントなどの経験があると吉 「私は○○が専門です」と言えると強い |
40歳~ | 会社を育てる人脈 または、非常に難しい専門知識・スキル できるだけ多くの人数を統率した経験 | 『人脈』を活用する時期 または特定の分野についてスペシャリストなら転職可能な可能性有 他業種でも実績があれば組み合わせ次第で採用される可能性はある |
このあたりはどちらかと言えば私独自の解釈ではなく、『このまま今の会社にいていいのか? と一度でも思ったら読む 転職の思考法』という本に登場する要素なのですが、私自身も採用の参考にしています。
上のような要素があるので、必ずしも『年齢が高いから転職は不可能』ということは無いと考えています。年代に応じた戦い方があるという事ですね。
ということで、次のステップに進みます。
IT転職のポイント③:経験
IT業界を知らない人が私の事を紹介する時、「ほら、あれよ。(キーボードを打つ真似をして)こういう仕事」なんて話される事が多いのですが、実際はもっと多様な仕事があります。
- プログラマー :いわゆるプログラムを作る人。最も普通の人が考えるITのイメージに近い。
- システムエンジニア:システムを設計する人。わりと広い意味合いなので、設計書を作りつつ、プログラマーも兼ねていたりする。
- セールスエンジニア:営業する人。突然システム設計の話になる事はよくある事で、営業とは言えども最低限の知識は無いとダメ。
- システムアナリスト:ITシステムの評価・分析を行う専門職。システムの構想を提案・開発、実運用と分析までサポートして面倒を見る人。
最初はどうしてもプログラマーから入ることが多いIT業界ですが、『今の会社でどういったスキルを持っていて、それがIT業界(御社)ではどのように活躍できるか』みたいな事が話せるのなら、全然転職の可能性はあると思います。
たとえば私の場合で言うと、社内に営業の専門スキルを持っている人は少ないので、マーケティング関係に強い人であれば実際、採用OK出すでしょう。
……ということで、転職は『スキル』『年齢』『経験』の総合力で戦うべきだというのが私の持論です。そして、ひとつ潜り込む事ができれば、そこからキャリアアップ転職もしやすいのがIT業界の魅力だと思っています。
なお、一度IT業界で働いた経験があると、比較的フリーランスで仕事も取りやすいです。
実際、どうやって未経験でIT転職するか
転職の概要が分かった所で、具体的にどうするかという話に進んでいきますが、正直な話をすると、未経験のIT業界転職で最もネックになるのはずばり、『スキル』です。
『スキル』の壁を突破したい
『年齢』と『経験』は、きちんと戦略を立てて仕事に当たっている方であれば、何かしらは戦う武器があります。成人してから向こう20年アルバイトでした! ……という事でもなければ、自分を見詰め直すとどこかにアピールポイント、突破口があるものです。
でも、IT業界で転職するためには、どうあっても『スキル』が必要です。
一番最初に覚えるなら、『ネットワークインフラ』か『Web系』か『プログラミングスキル』あたりでしょうか。ネットワークインフラは、非IT企業のシステム担当寄りかもしれませんが。
ここがわりとネックかなあ、と思います。IT業界はいつも人材不足なので、上記3つのどれかができれば、どこかしら転職の道はあると思います(給料はひとまず置いておいても)。
そこで、手段がいくつか考えられます。
- 本を読んで独学
- 誰かに教えてもらう
- スキル向上のサービスを利用する
それでも3番の選択肢があるだけ、かなり良い環境になったなあ、とは思うんですけどね。
方法①:ITスキルを独学する
最も簡単で手が出しやすいですが、一番挫けやすいです。
というか私自身が挫けた人間なので、あんまりおすすめできない……。でも、あえて書くならということで書きます。
私はソフトウェア開発のエンジニアなので、それに関する知識ばかりに寄っていってしまうのですが、最近は『Web系』のスキルがアツいので、そこ寄りで知識を習得していくと良いかもなあ、と思います。
具体的には、以下のような流れですね。
- テキストエディタを開いて『HTML』『CSS』が何なのかを知る
- 実際にホームページをいくつかサンプルで作ってみる
- 『WordPress』を使って実際にブログを立ち上げてみる
- 学習サイトを利用して、『PHP』の基礎を覚える
- 立ち上げたWordPressをオモチャにして遊んでみる
おそらく、この流れで行けば脱落率下がると思います。言葉が分からなかったら、良い機会なのでググってみましょう。これから先、エンジニアとしてやっていくなら事あるごとにGoogleにはお世話になります。
1・2番の部分は(基礎だけなら)導入としてすごくハードルが低いですし、WordPressは『ブログ型のサイト』で『PHP』を使って書かれているので、順番に有効活用して覚えていく事ができます。
この順番なら、私も未経験からやれたかもしれません(当時はPHPなんて知らなかったし、Webも今ほどメジャーじゃなかったので……)。
本当は、プログラミングを覚えるなら『C言語』はやっておきたいんですが、メモリやアドレスの計算をする必要があるのが原因で、めちゃくちゃ離脱率が高いんですよね……。
なので、せめて『PHP』だけでも分かっていれば、少しは応用が効くようになります。そこからバックエンド寄りなら、CやJavaに入るとかでしょうか。フロントエンドならフレームワークを覚えて、Javascriptに手を出していく流れでしょう。
ポイント
フロントエンド……ユーザーが直接目に触れる部分を開発するエンジニア。
バックエンド……目に見えない部分のデータ保存や処理を行うエンジニア。筆者はどちらかと言えばこっち寄り。
方法②:誰かに教えてもらう
これ、実は適当に書いている訳じゃなくてかなり真面目な話で、身近にエンジニアが居るのなら、そこから教わるのは相当有力です。
誰かに教えてもらう事を独学の足しにすることで、一人でもプログラミングスキルが育つ可能性が飛躍的に高まります。
専属でエンジニアが1人講師になるというのはとんでもない事であり、少しくらいはお金を払ってでも勉強する価値があります。逆に言うと、独学のハードルってそのくらい高いと思うんです。
実際、PHPの基礎を覚えるくらいのレベルで良いのなら、PHPのエンジニアだったら大体教えられると思います。まあ面倒見てもらえなかったら仕方ないですが……。
どうしてそうなるかというと、ITは『専門用語』というハードルが結構高いんですよ。
本を読むと、必ずと言っていいほど専門用語のオンパレードで、未経験の初心者にとっては「???」となってしまう可能性が高いです。「調べたら分かるんじゃないの?」と言われそうですが、たとえば以下を見てみてください。
ポイント
『下の文章を読んでみてください』
- メラゾーマ:PDCAのことです
- バイキルト:ビジネスのことです
- ヒャダルコ:マーケティングのことです
- ギガデイン:ユーザーのことです
バイキルトでヒャダルコを成功させるためには、適切なメラゾーマを設計して取り組む必要がある。
何故ならバイキルトにおけるヒャダルコとは、単に買ってくれるよう促す行為ではなく、ギガデインの体験が変わるよう未来を提示し、その未来をギガデインが受け入れてくれるからこそ成立する、win-winの関係を構築する行為だからである。
従って、どういった手段でヒャダルコを行えばギガデインに正しく意図が伝わるか、改善のためのメラゾーマが重要なのだ。
一発で分かりそうですか? ちなみに私は何度も読み直しながらこの文章を作りました。
IT用語って、初心者からするとこんな感じです。意味を調べて一度は理解したとしても、用語のオンパレードになってしまうと何言ってるか分からなくなるんですよ。
だから、噛み砕いて説明してくれる人が居ると、結構な時間が省略できます。一人居るか居ないかで、その後の効率が相当変わってきます。
……まあ、プロに教えてもらうのなら、お金のやり取りはあった方が良いと思います。賛否両論あるので強く主張はしませんが、個人的には。
方法③:スキル向上のサービスを利用する
この記事を書くにあたり調べてみたら、10年前とは全然事情が違うんですね。驚きました。
最近は、スキルを覚えて転職まで支援してくれるサービスというものがあるようで、これを使うと上の『独学する』『教えてもらう』よりも確実に、IT転職のためのスキルを身につける事ができますね。お金はかかりますが。
以下が良さそうですね。
TECH CAMPは10週間 or 6ヶ月、CodeCampGATEは4ヶ月のコースがあるようです。これで、実際にサービスを制作・公開するところまで学ばせて貰えるようですね。
10週間って……。私、学生時代は2年かけて、それでもサービス公開までは教えてもらえませんでしたけどね……。
金額はTECH CAMPが648,000円 or 848,000円、CodeCampGATEは448,000円の費用がかかるようです。
TechAcademy Proは12週コースで298,000円、こちらはオンラインで完結するので、「教室に行くのはちょっと……」という人でも安心です。この中では一番安いですね。
こうして見ると全体的に高い気がしますが、システムエンジニアの平均年収って550万くらいですからね。日本全体の平均年収が440万程度らしいので、1年エンジニアとして働けば元は取れるかな、という所でしょうか。
勿論職場ごとに年収は違うので、あくまで平均ですが。
エンジニアって『スキルを覚えて独立する or 転職する』というのがある世界なので、自分のスキルセットと経験を鍛えていけば、平均年収以上も目指せます。ここは努力次第です。
最初に転職したら終わりではないので、これだけの費用を払ってもやる価値は十分にあるかなと。もし私が未経験だったら、上記2つから入ると思います。転職が約束されていますし。
『いきなり転職はちょっと……先にスキルを覚えてから』と言うなら、以下でまずプログラミングを覚えるのもありですね。
上記2つはオンラインで完結するので、仕事で時間がなかったり対面が苦手だったりしても、気軽に受けられそうです。
まとめ:未経験でもIT転職の道はある
しかし、最近のプログラミングスクールはすごいですね。転職支援もしてくれたり……私が学生の時にも、こういうスクールが欲しかったなあ、と切に思います。
授業によっては『プログラミングの基礎』とか、『WordとExcelの使い方』なんかの説明で終わってしまう事もありました。優秀な先生を捕まえないと、優秀な授業が受けられなかったんですよね。
それが、今はオンラインで完結してしまうってすごいです。
人材不足を解決するべく、急速にシステムエンジニアへの壁は薄くなっているのですね。
もし「未経験だから……」と尻込みしているのであれば、こんなにチャンスが沢山あるのにもったいないなあ、と思います。
何事も、第一歩は挑戦からです。この記事を誰かが読むことで、エンジニアの仲間が増えれば楽しいなと思い、こんな事を書いてみました。
何かの役に立てば嬉しいです。